歯医者さんコラム 慢性痛の犯人はどこに潜んでる?

クロニックペイン、いわゆる不定愁訴とされがちな慢性疼痛は、その原因を特定するために様々な科にて多くの検査を必要とする場合があります。まず危険な病気による疼痛か否かを消去法的に絞っていき、最終的に人体に器質的な異常がないことを見極めた上で「原因不明」または「精神神経的な問題」とされることが多いです。
原因不明と「判る」までに数ヶ月かかる場合が多く、大抵は痛み止め等の薬剤が効かないために患者さんは長期間ひたすら痛みを我慢するほかありません。

このような場合に精神安定剤が処方されることがあります。この際の処方はあくまでも「慢性疼痛を和らげるため」に処方されるので、精神病と認定されるわけではありませんが、世間的にも差別の目が少なからず存在する薬剤ですので、患者さん当人としては精神薬を服用しているということを他人に知られたくはないでしょうし、疼痛が和らいだとしても真の原因部分を治療しているわけではないので休薬すると症状が再発します。神経をブロックして痛みをなくす方法もありますが、薬剤の効力が切れてまた痛みが再発することになれば治療を延々と繰り返さなければなりません。いわゆる保存的対症療法のみでは根本的な解決に至らしめることが難しいのが頭頸部の慢性疼痛です。

・・・・・原因と考えられる部分の治療を受けても痛みが治まらず、その結果患者さんは疑心暗鬼になり他の病院や他科を受診し放浪してしまう。そこまでしてもやはり原因がつかめず痛みの原因が分からない。最終的には精神的なもの、いわゆるストレスなどが原因であろうということになれば精神安定薬が処方される。また、受診した先々で様々な投薬を受け、薬剤の副作用が元症状に追加された場合、症状はいっそう複雑になり原因の特定はさらに困難になってしまう。原因が分からないまま痛みは長期継続し、痛みと不安がストレスの本体となりQOLのいっそうの低下を招く・・・・・

精神的なもの以外に痛みを起こす原因はいくらでも考えられるはずですが、仮にもそのような可能性が少しでもあるならば、是非とも突き止めてあげなければならないでしょうし、「痛み」は体のどこかに異常があるために発せられる注意信号ですので、レントゲンやMRIなどの画像診断において組織の異常がみられないからといって精神的なものからくる神経痛というように結論を急いでしまうのはいささか早計であり、なにか決定的な部分を見逃しているようにも思えます。しかし医師が自分の専門領域内において疾患を実際に見逃しているわけではなく、単に専門範囲に原因が見つからないという場合も多々あります。その場合は適切な他科紹介が必要になりますが、そのときの担当医の対応如何で患者さんの予後が分かれてしまいます。

たとえば舌痛症においては心因的原因による脳神経ホルモン異常などが原因といわれていますが、教科書に沿ったような判断によって全ての患者さんの症状をそこに結びつけてしまうのはやはり短絡的でしょう。内科などからの投薬種類を替えてもらったら痛みが消えた、一見関係ないような部位の虫歯を治療したら治まったという例もあり、または噛み合わせの不調和からくる顎関節部の炎症や筋緊張を原因として発症することもあります。ともすれば首の骨の微妙なズレが頭の重心を狂わせることにより周囲筋肉を硬直させたり頚椎神経を圧迫し頭頸部領域に痛みや痺れを起こすこともあり、カイロプラクティックなど整体治療によって痛みが消失することもあります。

つまり疼痛を起こしている神経の走行経路のみに注目したままでは原因がつかめないことがあり、また炎症による腫脹や悪性腫瘍などの組織変化がCTやMRIで見つからなくとも心因性ではない事例は多々あります。しかし専門領域から外れた疾患についての対応、紹介先が適切でない場合は結局「原因不明」となり的外れの投薬を受けることになるかもしれません。医療人は切実な痛みの訴えに対して他科的な視野も鑑みながら診断センスを鍛えていくことも必要なのでしょう。

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