言葉の魔力

生まれてはじめて歯科へ来院するにもかかわらず、門をくぐる前から号泣して恐怖心を露にする幼児をたまに見かけます。どうしてそのようになってしまうのでしょうか。
歯医者さんは怖いとこ?!それは、子供に接する大人たちが知らぬうちに「恐怖心」を潜在的に刷り込んでしまっている場合があるのです。
「もし虫歯になったら歯医者さんでガリガリ削らなくちゃならないんだよ~、すごく痛いよ~!だからちゃんと歯ブラシしなさい」というような方法で日々言い聞かせているうちに、子供にとっての歯科のイメージは「恐ろしい場所」「絶対に行きたくない場所」となってしまい、頭のなかにそのイメージが強く固定されてしまうのです。

多くの場合、子育てのなかで
①「ちゃんと○○しないと△△だよ」
日常的な会話のなかでこのパターンを多用している方はけっこういらっしゃると思います。この△に入る言葉はどうしても悪者になってしまいます。また、目標達成に失敗してしまうと残酷です。

では
②「ちゃんと○○すると△△だよ」
このように言い換えてみるとどんな効果があるでしょうか。①に対して②は正反対の効果を引き出すことは容易に想像できます。この場合、△に入る言葉はかなり魅力的かつ楽しいものでなければなりません。しかし動機付けに成功すると、作業の過程をも楽しみながら達成していけるでしょう。

日常のなかでは、比較的簡単でしかも短時間で強烈な印象を与えることが出来る動機付けとして「苦痛、恐怖」や「失敗」などをネタとする言葉が多く使われ、残念ながらこれは成人社会でもよくみられる事柄です。物事を成功に導くにあたって、①の△にできるだけインパクトある言葉を使用し、相手の心にネガティブなプレッシャーをかけて努力させようとすることが多々。しかし、常に結果を恐れ精神ストレスが増大するため、全く楽しくない心境のまま物事に従事し続けることになります。ストレス社会の元凶ですね。

さて、ことに低年齢児の場合、物事の目標や過程が楽しくなければ結果達成率は著しく下がってしまいます。ぜひとも②のパターンを上手に活用していただきたく思います。①の場合、いざ虫歯が発生してしまったときに、いつも親御さんから言い聞かせられていた「世にも恐ろしい場所」に行くことになる小児の心境を察してあげてください。

歯医者さんは怖いとこ?!

photo by: fabbio

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